歯の痛みを感じる神経は、象牙質という組織に覆われています。また、歯の神経の枝が、この象牙質にも入り込んでいます。象牙質には細かい穴が開いており、そこに神経が入り込んでいます。ですので、象牙質には神経への刺激が伝わりやすくなっています。この上をさらにエナメル質という硬い組織が覆うことで刺激が伝わらないようになっています。
ですので、なんらかの原因で、エナメル質が薄くなったり、柔らかくなると、刺激が神経に伝わり、“痛い”という症状になります。
歯がしみる知覚過敏の原因
【初期むし歯】
虫歯により、エナメル質が薄くなると、刺激が伝わりやすくなります。
冷たいものがしみる場合、むし歯の初期症状である可能性が高いと言えます。温かいものがしみるようになれば、より進行したむし歯だと考えられます。
【知覚過敏】
歯がしみる場合は、知覚過敏の可能性もあります。歯肉は、歯周病でなくとも、加齢によって下がってきます。エナメル質に覆われていない歯の根が露出してくると、神経と、外界との距離が近づき、歯がしみるようになります。これが「知覚過敏」です。
知覚過敏の症状は、冷たいものを飲んだ時にしみる、歯磨きをした時にしみる、甘いものを食べた時にしみる、など様々です。甘いものを食べた時にしみる原因として、神経が通っている象牙質の穴のを満たす組織液の濃度が高まり、神経を圧迫するからだと言われています。
【くさび状欠損との関係】
歯ぎしりのように、強い力が歯にかかると、応力に弱い歯と歯茎の間の部分の歯質が欠けてしまうことがよくあります。これをくさび状欠損といい、このような状態があると、神経と外界との距離が狭まり、歯がしみる原因になります。
また、ブラッシングの圧力が強いと、同様に歯が削れてしまい、くさび状欠損が出来、歯がしみる原因となります。
歯がしみないための治療法
【初期むし歯】
比較的初期のむし歯であれば、歯を削り、詰め物を詰めて治療は終わります。
歯を詰める材料としては、セメントや、レジンというと歯科用プラスチックを使用することがほとんどです。
時に虫歯が大きくなっている時がありますが、そのような時は、銀歯セラミックによる詰め物で対処せざるを得ない時もあります。
【知覚過敏】
まずは、徹底的なブラッシングや、歯科医師・歯科衛生士によるプロフェッショナルケアーを行います。それは、唾液中の成分によって歯が再石灰化され、知覚過敏が消失することがあるからです。
知覚過敏の場合は、しみ止め剤、知覚過敏用の歯磨き剤を用いることがあります。なお、しみ止め剤は、必ずしも1度で効果が得られるとは限りませんので、数回程度繰り返し塗ることもあります。また、一度治っても、また再発することもある、意外と厄介なものです。これらで効果が認められない場合には、しみる箇所を削って詰め物をしたり、特殊な樹脂で覆うといった方法をとることもできます。また、激しくしみる場合には、神経を取り除かなければならないケースもあります。
【くさび状欠損との関係】
ナイトガードを作成して、寝ている間の過度な食いしばりによる歯へのストレスを軽減します。また、ブラッシング圧を弱めたり、柔らかい歯ブラシを使うことで、楔状欠損は防ぐことができます。
できてしまった楔状欠損は、セメントやレジンによる修復で直していきます。