小室歯科の勤務ドクターによる臨床研修に関する記事

小室歯科の勤務ドクターによる、臨床研修に関する記事をご紹介します!

歯科医師臨床研修について ―協力型臨床施設での現状―

平成21年度で、歯科医師臨床研修制度も3年目を迎えますが、大阪大学では全期間を大学で研修するプログラム(Bプログラム)の他に、研修医の一部が学外の協力型施設(開業医や病院)で研修するプログラム(Aプログラム)が用意されております。大阪大学のAプログラムでは、まず4月から6月までの3ヶ月間大学で基礎的な研修、病棟実習などをこなし、その後7月から翌年の2月まで協力型施設での研修となります。最後の1ヶ月は大学に戻りまとめの研修を行い、終了となります。当院では初年度よりAプログラムに参加させて頂き、これまで2名の研修医を受け入れ、研修して頂きました。当院では、研修制度が始まる以前より他大学からの研修医を受け入れたり、新卒の勤務医の採用・教育を継続して行ってきたものの、やはり制度の立ち上げ時期ということもあり、指導医・研修医とも戸惑うことも多く試行錯誤を続けながら研修を行いました。そこで、当院での経験を踏まえて臨床研修の現状についてご報告致します。

協力型施設から見た大阪大学のプログラムの特徴としては、①協力型施設での研修期間が他大学のプログラムに比べて8ヶ月と長期であり、②研修が7月から開始すること(事前に大学で研修している)、③研修医に世話役講座が決まっている、ことがあげられると思います。現状の研修医は、卒直後はあまり臨床での経験をつんでいない状態ですので、当院でも院内での最初は特別勉強会や、治療の見学・アシストを中心に臨床の現場に慣れていただき、個々の現状を把握しながらの研修となりました。そのためプログラムが4ヶ月程度であると、研修医が医院になれて、さあこれからというところで終了になったと思います。しかし、研修が8ヶ月あると後半には進捗度合いに合わせて研修も高度なことに取り組めるようになったので、良かったと思っております。また、世話役講座が決まっているので、研修の運営上の様々な疑問を担当講座の先生に気軽に相談できたのは非常に心強かったです。特に、研修医にどの技術レベルまで達成させればよいのか、制度上の疑問点(待遇など)などいろいろ質問し、試行錯誤しながら研修を進めていきました。その甲斐あってか、全期間を通して大きなトラブルもなく研修を終了することが出来ました。

研修医の受け入れには、給与の負担や、経験不足で医院の”即戦力”とはなりにくいなどのハードルがあることは確かですが、当院でも”教えることで教えられる”、”見られていることで自分の臨床の襟元が正される”などの意見もありましたし、何より若い力が医院に加わることで随分活性化されましたので、全体としてみれば非常に良かったと思っております。これからも協力型施設として役に立てることは何か考え続け、大阪大学の卒後臨床研修プログラムの更なる発展に微力ながら協力できればと思っております。

最後になりましたが、実施責任者の村上先生、開始直後にご指導頂いた野首先生、世話役講座の前田先生、長島先生をはじめ、臨床研修関係者の方々にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

歯科医師臨床研修指導歯科医講習会を受講して

1月29、30の2日間で、歯科医師臨床研修指導歯科医講習会を受講しました。大阪大学内より16名、学外より16名が参加しました。

内容は、大きく分けると2つに分けられると思います。1つは、歯科医師臨床研修指導歯科医になるにあたっての、教育論的な講習です。参加者が、1グループ8名の4グループに分かれ、研修歯科医に習得してもらいたい事柄を具体的に設定し、それを達成するカリキュラムを立案する方法、並びに臨床研修指導技法を、ワークショップ形式で学びました。“ワークショップ形式“というと聞きなれない言葉ですが、簡単に言うと、ある目標(今回はカリキュラム作成)を定め、その達成に向かってグループの参加者が効率的な討論を行い、一定の時間内(2日間)に成果(具体的に模造紙に書いて他グループの参加者に発表)を挙げるという学習方法です。3人寄れば文殊の知恵といいますが、この方法により1人で考えるよりもはるかに有効に、早く問題解決を行えるとのことで、今回私もその有効性を少し理解できたような気がしています。この方法は、歯科に限らず既に医科では本格的に取り入れられている技法だそうです。本来は、富士研という研修施設で4、5日かけて行う内容を、今回は2日間で凝縮して行うとのことでした。学生の頃から授業を聞き、その後基本的には1人で暗記型の勉強というのに慣れていた私にとっては、“ワークショップ形式”の学習方法自体がまず新鮮で、普段使わない頭を使ったせいか、大変ハードで充実していました。また、カリキュラム立案に当たっては、研修医に課した課題の達成状況を“適正に評価する”手法についても重視されていました。このような手法、考え方は研修医の研修だけでなく、自己研鑽、また歯科医院でのスタッフの教育にも応用できそうで、大変勉強になりました。

2つ目は、来年から必修化される臨床研修に関する制度的な説明と、それに関わる全体討論です。1日目の最初に、厚生労働省の平田創一郎先生(阪大42回生の先生で心強いです)より、制度的な説明を頂きました。その後前述のワークショップ形式の講習を行った後、2日目の最後に全体討論を行いました。一般歯科医院という協力型施設において、どのように研修医の先生を受け入れていくのか、給与面、受け入れ期間の面など、いろいろ活発な質問、議論が行われました。まだまだ不確定な部分も多いようですが、だからこそこのような議論を通して研修医、国、大学、協力型施設となる一般歯科医院の4者にとって共によりプラスになる制度になる余地があるのではと期待しております。

最後に、今回の研修は教授、同窓会の大先輩の先生から、私のような若手まで同じテーブルにつき歯科医師臨床研修に関する講習会を受けるいう意味でも、大変貴重、あるいは恐れ多い?経験をさせて頂きました。いろいろな立場、キャリアの先生方と意見を気軽に交わせたことも、ワークショップ形式ならではのことだと思います。また懇親会等で、同世代の先生や学生時代の1診ライターの先生とも臨床研修の話題を離れてお話する機会もあり、楽しいひと時を過ごすことも出来ました。実施責任者の恵美須先生、企画責任者の野首先生をはじめ、準備にあたった講習会のスタッフの先生にもこの場をかりて厚く御礼申し上げます。

一番上に戻る
お電話でのお問い合わせ TEL.06-6623-2401お電話でのお問い合わせ TEL.06-6623-2401 見学・面接お問い合わせメールフォーム見学・面接お問い合わせメールフォーム 求人情報TOP