患者さんと、お話をしていますと、歯の黒い部分がありますが、これは放っておいて良いですか?と質問されることがよくあります。
多くの場合は、虫歯であることが多いのですが、初期であれば、経過観察するか、治療に進んでいくか、非常に悩むこともあります。この程度の進行であれば、はっきりとレントゲンにも現れないことが多いです。しかし、この虫歯の初期症状の段階で、歯医者さんにご相談いただければ、フッ素を使用した、歯を削らずに初期の虫歯を予防していく治療方法を実施することができます。今回はその方法について、お話したいと思います。
虫歯の原因について
虫歯は、虫歯菌が出す毒素により、歯の表面のエナメル質が破壊されることによってできます。
多くの場合、食事をした後すぐに、お口の中が酸性になるので、そのような状況が大好きな虫歯菌の活動が増加し、毒素を出し、虫歯になりやすくなると言われています。しかし、唾液の中では、歯の食べカス(プラーク)を洗い流したり、再石灰化と言って、柔らかくなったエナメル質を硬くする(元に戻す)作用があり、本当の初期の状態では、虫歯になるかならないかの状態を行ったり来たりしているといえます。
虫歯の初期ならフッ素で治療
ですので、特にお子様の場合、本当の初期の場合は、フッ素などを塗って、後はお口のケアをしっかりして、歯の状態の維持に努めると、虫歯の進行を食い止めていくことができることも多いです。最近では、このような治療に対して保険適用もされていますので、毎月のようにフッ素塗布し、状況をチェックするためにご来院される患者様も多くなっています。
虫歯が大きくなっていた場合は注意
しかし残念ながら、虫歯がある程度進行すると、慎重に虫歯の部分を除去して、小さい虫歯であればプラスチック、大きな虫歯であれば詰め物などで直していきます。いずれにせよ、元に戻らない状態にまで虫歯が進行した場合、早め早めに治療することが大事になります。当然、放っておくと、虫歯が神経にまで及び放っておいても痛みだし、最悪神経を除去して、被せ物などのもっと大きな治療をすることになるからです。早めに直すと、当然治療も小規模ですみますから、治療期間も少なくてすみますし、費用負担も少なくてすみます。
早めの相談が大切
虫歯かな、と思われたら先延ばしにされずに、ぜひ遠慮なく歯医者さんにご相談いただけますと幸いです。ベストは、当然フッ素などを塗ることで、全く歯を削らずに予防していくことにあると考えているからです。また、フッ素塗ったり、衛生士さんにお掃除をしていただく時に、歯の磨き方についていろいろアドバイスもいただけるので、そういったアドバイスを、ぜひおうちでの口腔ケアに役立てていただきたいと思っています。
次回は、虫歯の治療に使う、歯の材料についてお話ししようと思います。