小室暁医師は、大阪市の天王寺中学校の学校歯科医をしております。天王寺中学校生への歯科啓蒙活動の一環として、学校が定期的に発行する健康便りに投稿しております。その一部をご紹介いたします。
歯はどうしてこのような形をしているのか
天中生の皆さん、こんにちは。小室歯科近鉄あべのハルカス診療所、天王寺中学校学校歯科医の小室暁です。
先日は、中2の皆さんに向けて、噛み合わせについてのお話や、歯医者という職業についてのこと、そして昨年の歯科検診についてまとめをお話ししました。いつも、皆さんきちんと話を聞いてくださって、本当にうれしく思います。来年度も1年生、2年生の皆さんに向けて講話を行っていく予定ですので、よろしくお願いします。
さて、皆さんから、“歯はどうしてこのような形をしているのですか?”という質問を受けることがあります。ある意味哲学的で、深い質問ですけれど、そもそも皆さんの永久歯には、どのような歯があるか、ご存知ですか?大きく分けて、我々の永久歯は3種類に分けられます。前歯、小臼歯、大臼歯の三つです。前歯は平たく、薄いので、物をかみ切ることに向いているといわれています。もちろん、見た目にも大きくかかわる歯です。
次に、小臼歯は前歯と大臼歯の間にある歯で、食べ物を引き裂く役割を持っているといわれています。
大臼歯は、一番奥にある歯で、食事をする時に、前歯で噛み切った食べ物をすり潰したり、細かくする役割を担っています。
人は、食物を咀嚼する際、まず食物を切り裂いて細かくした後、臼歯で細かくすりつぶし、一つの塊にして飲み込みます。ですので、前歯から臼歯にいくにつれてすりつぶしやすいように溝が多く、深くなっていきます。また専門的な話をすると、その溝の走り方や形も、実に食べ物をすりつぶし、奥に流れていきやすい形になっているのです。
我々歯医者は学生の時、この形をスケッチしたり、石膏棒を削って形を作ったりして覚えこみます。その過程を通じて、歯がそれぞれの役割を果たすために最適な形をしていることに気づきます。また、肉食の動物、草食の動物、それぞれ適した歯の形、歯並びをしています。
歯に限らず、解剖学を勉強すると、動物の骨、筋肉、神経など、それぞれの形のすべてに意味があることに気づきますので、我々の体は正に神様が作ったとした言えない神秘的な気持ちになります。ですので、親から頂いたこの体を傷つけずに少しでも健康に維持することはすごく意味のあることに思えるのです。