小室暁医師は、大阪市の天王寺中学校の学校歯科医をしております。天王寺中学校生への歯科啓蒙活動の一環として、学校が定期的に発行する健康便りに投稿しております。その一部をご紹介いたします。
天王寺中学での歯科健診の感想(2012年度)
こんにちは、学校歯科医の小室暁です。さる5月25日、天王寺中学校に歯科検診に伺いました。
詳しい結果はまだ出ていませんが、結果は保健便り、および二年生には毎年恒例の“歯科講話”にてお話しできればと思います。
今回は、今回検診させていただいた感想と、ちょっとしたアドバイスをお伝えしたいと思います。
全体的な感想
私は天中で歯科検診をさせていただいて、もう十年以上になります。いつも思うことは、天中生は礼儀正しくて素晴らしいと思います。学校に着くなり“おはようございます!”と元気に挨拶してくれます。また、虫歯の数を示す指数にDMF指数というものがあるのですが、毎年統計を取ると、大阪市の平均の半分くらいの値なのです。これはきっちりとした生活態度に基づく歯のケアー、それを支えるPTAの皆様の努力のたまものだといつも感謝しております。
しかし、そんな天中生でも、虫歯は少ないもののみがきのこしがある、歯肉が腫れている、かみ合わせが気になる生徒がいる、ことは気なるところです。
C0とは?
治療の結果報告書に、治療すべき虫歯がある人は、当然治療勧告されますが、意外と多いので気になるのが、C0という歯がある生徒です。これは、“勧告するほどではないが、定期観察が必要な状態”です。ですので、虫歯が大きくならないか、歯科医院でチェックをしていただくことを推奨します。
歯肉、歯垢の状態について
歯肉、歯垢の状態についての状態について、報告があると思います。先ほども書いたように、虫歯がないのに意外とみなさんみがきのこしが残っていたり、歯肉が腫れていたりするものです。中学生では、まだ少しくらいこのような状況でも痛みなどの症状は起こらないので、ついついそのままになってしまうのです。しかし、これを放っておくと虫歯の原因になりますし、十年後、二十年後、歯についた汚れの中に細菌がたまり、その細菌の出す毒素によって歯を支える骨がとけ、歯が揺れてきて、最後には抜けてきます。これが歯周病です。現状では、歯周病にいったんなってしまうと失った骨を完全に取り戻すことはできません。ですので、今のうちに予防することが大事なのです。
かみ合わせ
噛み合わせは、この十年間私が見てきて一番気になる部分です。やえば、乱杭歯、受け口、出っ歯、、いろいろな噛み合わせの不調がありますが、そのどれもが虫歯や歯周病の原因となります。歯と歯が重なった部分などが、どうしてもハミガキできないからです。他にも、歯並びをよくすることによって自信を持ってしゃべれる、笑えるようになることは、中学生の将来にとっては大きなことだと思います。このような噛み合わせ、歯並びを治すために歯列矯正をおすすめしていますが、今ではより装置が目立たず、より短期間に治療できる方法も出来てきておりますので、ぜひお気軽に歯科医にご相談いただければと思います。