最新NEWS

2024.04.30

大阪公立大学歯科口腔外科 中原寛和先生による講演

大阪公立大学歯科口腔外科 中原寛和先生による講演

当院では、本年度も毎月1度、診療を早めに切り上げ、全体ミーティング及び勉強会を継続して参ります。

記念すべき、本年度第1回目のご講演は、大阪公立大学歯科口腔外科教授、中原寛和先生によるご講演でした。
内容は、我々開業医が知っておくべき抗生物質の使い方、抗凝固剤を使用している患者様やMRONJ(薬剤関連顎骨壊死)への対応についてでした。

抗生物質の使い方

現在、医科歯科問わず多くの抗生物質が使用されています。歯科分野でも歯肉が腫れた時や、抜歯やインプラントなど、外科的な処置の前後に、日々使用しております。しかし、抗生物質は、様々な種類があり、それぞれに効果的な細菌の種類や効き方が違います。また、同じ薬を長い間使い続けると耐性菌と言って、その抗生物質が効かなくなる細菌が出現したりします。これは、当然、歯科だけではなく、医療全体で大きな問題であり、数年前から国が主導して、抗生物質についての使い方についてのガイドラインが示されるようになってきています。今回は、そのガイドラインを基としてお話を伺いました。概要だけでなく、術前や術後の投与について、具体的に指針を示していただき、大変参考になりました。実際、30年後ほど前まではメジャーと言われていた抗生物質が今は推奨されなくなっていたり、その逆もあります。時とともに、薬の使い方をアップデートしなくてはいけません。その良い機会となりました。
JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2016 ―歯性感染症― 経口抗菌薬

MRONJ(薬剤関連顎骨壊死)への対処について

骨吸収抑制薬は、骨粗鬆症や悪性腫瘍の骨転移に対して広く用いられている薬剤ですが、これらの薬剤を使用している患者に生じるまれな合併症として骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)が知られており、歯科では抜歯などの口腔外科的な処置をする際に問題となっていました。具体的には、薬の種類により、医科と相談の上、極力処置をしないか、休薬などの処置をとっておりました。
しかし、2023年7月に日本口腔外科学会等の顎骨壊死検討委員会から、「薬剤関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023」が公開され、治療のガイドラインが変更されています。
まず、BP製剤やDmab製剤といった骨吸収抑制薬だけではなく、血管新生阻害薬に加えロモソズマブといった新規薬剤によるMRONJも報告されてきました。その現状を踏まえ、前回のポジションペーパーでは顎骨壊死の呼称はARONJとされていましたが、今回は診断名が、広くMRONJ(薬剤関連顎骨壊死)となっています。
また、MRONJ発症のリスク因子として、抜歯などの手術侵襲よりも顎骨の感染の存在を重視するため、抜歯時の予防的休薬については、「原則として休薬しないことを提案する」としています。
これらのことを薬の作用機序から丁寧にご説明いただき、注意すべき薬剤のリストもご提示いただきました。
当院での対応の基準として、考え方を整理する良いきっかけとなりました。

抗凝固剤服用患者さんへの対処について

抗凝固剤を服用している患者様への対応は、MRONJと同様、日々我々が直面する問題です。今回のご講演では、止血の基本的な仕組みの話から、それに対応した薬の種類、また、その服用患者についての対応についてお話しいただきました。
止血の機序には、主に血小板凝固による一時止血と血液凝固因子の活性化によって、丈夫で安定したフィブリン血栓を形成する、いわゆる二次止血の機序があります。
今回のご講演では、抗凝固剤は、特に二次止血に関与する薬のうち、ワーファリンなどが、イグザレルト等の別の作用機序の薬に置き換わりつつある現状をお話しいただきました。また、患者さんの中では、一次止血と二次止血の両方の薬を服用されている患者さんもいらっしゃるので、そのような患者さんに対しての特別な注意が必要なこと、そしてその対応法についてもご教示いただきました。
抗凝固剤についても実際の薬リストをいただき、かつ覚えるための語呂合わせもご教授いただき(笑)、本当に明日から役に立つ内容となりました。

上記の話を1時間30分と言う短い時間の中で、簡潔かつ明瞭にお話しいただき、我々にとっても非常に充実した時間となりました。
また、我々が日々直面している問題に対して、全て学会のガイドラインに基づいてお話しいただいたので、非常に我々の知識の整理にもなりました。
上記の内容は、全て、日々ガイドラインが変化している内容です。我々も常にこのような機会を設けていただき、継続学習の重要さを身に染みた講演となりました。
今回の内容に関わらず、学会ガイドラインに沿った治療を行うことは、今後とも当院の行動規範にしていきたいと思います。

また、大阪公立大学病院とも医科歯科連携について、具体的に意見交換をさせていただくことができ、大変光栄な時間となりました。
中原先生には、本年度も当院の歯科医師卒後臨床研修の口腔外科実習でもお世話になる予定でおります。今後も様々な方面から連携させていただき、当院の患者様により安心して歯科治療を受けていただけるよう精進して参りたいと思います。

最後に、中原寛和先生、このような貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。深く感謝申し上げます。

TOP
TEL:06-6623-2401 日曜・祝日診療 診療時間 10:00~13:00、14:00~20:00TEL:06-6623-2401 日曜・祝日診療 診療時間 10:00~13:00、14:00~20:00 初診予約初診予約 LINE無料相談LINE無料相談 メール相談メール相談