毎年3月は、当院の研修医達の臨床研修が終了する月です。本年も、3名の研修医の先生達が、最終のケースプレゼンテーションを行われ、無事終了認定を終えられました。それぞれの先生が、レジン充填や、自身の根管治療などの治療を振り返り、見事に研修の成果を発表してくださいました。本年度は、例年にも増して実践を多く積んでいただき、その分、たくさんの経験を積んでいただけたと自負しています。一方、引き続きコロナ禍のため、外部の口腔外科での実習が中止となり、全身管理や、有病者の治療等は、当院内での、麻酔による全身管理を伴った治療や、訪問診療での有病者治療などを通して、研修頂きました。
一方で、本年度から導入した、診療時間内での座学での研修や、ミーティング、ウェブ教材の充実など、コロナ禍で充実させた、ICTを使用した教育は、本年度も十分に進歩し、成果を上げることができたと思っています。来年度も、すでに新しい機材を購入し、治療時の動画を撮影し研修できるなど、様々な工夫を凝らした研修を行っていきたいと思っています。
本日は、月末のロングミーティングのあと、ドクター向けの勉強会において、大阪府で開業
されている、院長の大学の大先輩である森本剛先生にご来院いただき、コーヌスクローネと言う、アタッチメント義歯の長年にわたる症例についてプレゼンテーションしていただきました。コーヌスクローネは、非常に昔から使用されているアタッチメントですが、最近では使用頻度が少なくなっている治療法です。しかし、他のアタッチメントと違い、患者さんと10年20年とお付き合いしていくうちに、既存の義歯を修正しながら、アタッチメントの修正をしていき、その歯が悪くなっても抜いて修理しながら使っていただける、非常に有効な治療法であることを強調されていました。また、局所の治療部位だけではなく、お口全体の噛み合わせなどが、義歯の安定に重要であるため、お口全体的に治療が必要なことも強調されていました。”お口全体を見て治療計画を立てること”、”1年2年ではなく、20年30年と言う長いスパンで患者様とうまくお付き合いすることを考えて治療計画を立てること”、この2つは、若い先生方にはぜひ感じていただきたい視点でしたので、あえて3月にお越しだきご講義をいただきました。研修医の先生も、終了後に質問を積極的にしてくださり、当院からのメッセージが、少し伝わったのではないかと嬉しく思いました。
当院の研修は、開業医での研修であるため、非常に患者さんに密着する研修となっています。それだけに、専門的知識や技術だけでなく、患者さんに寄り添う、といったような日常に関わるスタンスまで研修していただけるようにプログラムを組んでいるつもりです。
4月からは、新たな研修医の先生がまたお越しになります。常勤の先生も若手の先生が1名来られます。未来の社会を作る先生方を、来年も進化した形で教育できるよう精進していきたいと思います。
当院は、12か月当院で研修できるプログラムのみならず、大阪大学、大阪歯科大学、岡山大学、徳島大学、愛知学院大学、こばやし歯科などとの協力型研修施設など、多彩な研修方法を有しています。当院の令和5年度の研修に向けた見学も、すでに始まっております。ご興味ある先生は、是非ご連絡ください。