このブログでも、何回も、話題にあげさせていただいたと思いますが、この、超高齢化社会の進行は、あと20年は続くと言われています。日本の総人口は今後減少に転じると予想されていますが、高齢者の方の人口は増えるか横ばいで、結果人口に占める高齢者の割合は、今後何十年にも渡り増加し続けると考えられています。このような将来予想をもとに、国では、積極的に、高齢者の方のリスク要因である生活習慣病を予防したり、治療においては、病院だけでなく、在宅や介護施設等も含め、地域連携を図りながら大きな枠組みで患者さんを長期にわたって見る仕組みを推進しようとされています。
また、このような状況に対応できる人材を育成するため、卒前、卒直後、その後キャリアの最後までと、継続して一環した教育を医療従事者もうけることが求められてきています。
その中で、本年度から歯科医師では、卒後臨床研修の先生方への、地域連携への参加が必須となっているようです。当院では、以前から、学校歯科医をさせていただいている中学校や高校での学校検診への参加、また、訪問診療や、地域連携に関するイベント等への出席などを少しずつ経験していただいていました。本年からは、卒後臨床研修の大きなカリキュラム変更を踏まえて、より積極的にこれらの活動に参加していただくようにプログラム変更を行いました。7月となり、研修が始まり3ヶ月が過ぎ、1通り当院の診療体系にも慣れてきていただいた頃ですので、十分に感染対策に留意し、先方の施設様とも話し合いの上、訪問歯科診療に同行する研修を開始しています。高齢者施設、障害者施設、居宅など、様々ですが、初回に同行してくださった研修医さんからは、貴重な体験になったと好評な反応をいただいています。また、口腔機能低下症の検査をするための、施設への訪問を手伝ってもいただき、最近国家試験にもよく出題されると言う、口腔機能低下症の検査を色々と実践する機会が得られ、当院としても非常に良い研修になったと思っています。
また、歯科衛生士の卒前研修においては、学生さんが自ら、訪問診療の体験を希望され、十分に学校側とも話をさせていただいた上で、同行させていただくことができました。この実習も概ね好評だったようで、はじめての経験ではありましたが、今後も続けていきたい内容となったと思っております。
このような試みは、先方の施設様や、学校様との事前の相談が必須であり、かつ現状では感染対策にも留意しなければいけないと言うハードルもありますが、未来ある若い先生方や、衛生士さんには非常に貴重な体験となると思いますので、今後とも継続して活動し、希望する方には、より多くの機会を持っていただき、将来的に地域連携に大きく貢献する人材を育成できるように努力したいと思っています。