本日は、私たちの歯科医院の勤務医2名が受講したBPS義歯の認定講習についてお話ししたいと思います。この講習は、イボクラービバデント社が開発したBPS義歯という治療システムについて学ぶもので、講師は小室暁理事長の恩師の一人でもある大阪大学歯学部名誉教授の前田芳信先生でした。
BPS義歯との出会い
当院では、数年前に前田先生からBPS義歯について学び、その考え方を日々の臨床に取り入れてきました。BPS義歯(Biofunctional Prosthetic System)は、イボクラービバデント社が開発した、機能的で審美的な完全義歯を提供するための包括的な治療システムです。このシステムは、患者の個々の解剖学的な特徴と機能的な要求に基づいて精密な義歯を製作することを目的としています。
BPS義歯の主要な特徴
1. 精密な印象採得
BPS義歯では、特に精密な印象採得が重要です。専用の印象材とトレイを使用して、患者の口腔内の形態を正確に再現します。これにより、義歯の適合性が向上し、義歯装着時の快適性が高まります。
また、通常、入れ歯は、概形印象という、大まかな歯型を取り、その歯型を利用して患者さん個々の顎にあった印象用トレーを作成、そのトレーを利用して最終の歯型を採得し、噛み合わせを記録する道具を作成します。つまり、噛む合わせの記録を取るまでに、3回かかるのですが、BPS義歯では、特殊な方法により、2回で噛む合わせの記録を取ることができるので、来院回数の短縮に役立ちます。
2. 高精度の咬合再現
咬合(噛み合わせ)の再現もBPS義歯の重要なポイントです。特別な器具を使い、咬合を精密に再現することで、義歯装着時の咬合バランスが整い、食事や会話の際の安定感が増します。
3.審美性の向上
BPS義歯は、自然な見た目を重視しています。歯の形態や色調を個々の患者に合わせてカスタマイズすることで、非常に自然な審美性を実現します。これにより、患者さんは自信を持って笑顔になれる義歯を提供されます。
4. 生体機能的アプローチ
BPS義歯は、生体機能的なアプローチに基づいています。つまり、義歯の設計が患者の咀嚼、発音、表情などの自然な機能をサポートするように工夫されています。当院の創始者である、故・小室史郎は、義歯はただの「人工の歯」ではなく、患者の生活の質を高めるための”人工臓器” であると伝えました。BPS義歯は、このコンセプトにマッチしたものと考えます。
5. 高品質な素材の使用
イボクラービバデント社が提供する高品質な素材を使用することで、耐久性と審美性を兼ね備えた義歯が作製されます。特に、耐摩耗性に優れた人工歯と、変色しにくい義歯床材が使用されています。
BPS義歯の利点
1. 患者の快適性の向上
精密な印象採得と咬合再現により、義歯の適合性が向上し、患者さんは快適に義歯を使用できます。特に、初めて義歯を使う患者や、以前の義歯に不満があった患者にとって、大きな改善が見られます。
2.審美的な満足度の向上
自然な見た目を実現することで、患者さんの審美的な満足度が向上します。特に、笑顔や話す際の自信につながり、社会生活の質が向上します。
3.機能的なパフォーマンスの改善
生体機能的アプローチにより、咀嚼効率や発音が改善されます。これにより、患者さんの日常生活での食事や会話がより自然でスムーズになります。
4. 長期的な耐久性
高品質な素材の使用により、BPS義歯は長期的に安定した性能を発揮します。これにより、患者さんは長く義歯を使用することができ、頻繁な修理や調整の必要性が減少します。
BPS義歯の今後の展開
イボクラービバデント社は、デジタルデンティストリーにも力を入れており、義歯をデジタル技術を利用して作成するシステムを発展させています。将来、BPS義歯が完全にデジタル技術により作成される日が来るかもしれません。
当院でも、デジタルデンチャーには力を入れており、今後とも、研鑽を続けていきたいと思っています。
勤務医の先生方がBPS義歯の認定医として、これから多くの患者さんにこの技術を提供できるようになることを非常に楽しみにしています。彼らの今後の成長と、BPS義歯を通じて多くの患者さんの笑顔を増やしていけるよう、全力でサポートしていきたいと思います。
当院では、今後とも勉強会を開催するだけでなく、定期的に勤務ドクターに外部の勉強会や学会に参加していただき、治療技術のレベルアップにつなげていきたいと思っています。