こんにちは。理事長の小室暁でございます。
先週、約1週間の日程で、イタリアのローマにデジタル歯科及びインプラントの研修に行って参りました。
当院では、歯がないところにインプラントを埋め込み、噛めるようにする、口腔インプラント治療に力を入れております。また、10年前のあべのハルカス近鉄本店での移転拡大を機に、CADCAMを始めとするデジタルデンティストリーに力を入れています。
インプラント治療は、数ある歯科の分野の中でも、いち早くデジタル歯科の恩恵を受けてきた分野だといえます。インプラントのかぶせ物を作成するパーツは、天然の歯と違い、一つ一つ形が違うわけではなく、ほぼ規格化されているため、デジタルによる精密な被せ物や、型取りに相性が良いといえます。
また、インプラント治療では、適切な噛み合わせを作り、神経や上顎洞など、重要な解剖学的な構造物を避けて、安全に治療するために、コンピューターを使用してシミュレーションをする必要性もあります。
このように、現在の当院の特徴とするデジタル歯科とインプラントを総合的に研修することは大変重要なので、新型コロナウィルスの感染前には、継続してプライベートにて、バイコンインプラントの本社があるポストンに仲間と赴き、研修を続けてきました。
新型コロナウィルスの感染により、2019年を最後に研修は中断しておりましたが、この度研修プログラムが再開しましたので、参加いたしました。今回は、いつものボストンではなく、イタリアのローマにて研修が行われました。
今回も仲間の先生方の発表や現地イタリアのトップレベルの臨床家、および教授達によるデジタル歯科とインプラントについてのプレゼンテーションを拝聴いたしました。また、バイコンインプラント社のインストラクターの先生たちのプレゼンテーションの配置をすることができ、最新の材料やシステムの情報を伺うこともできました。
今回は、インプラント治療における口腔内スキャナ、設計ソフト各種の比較や複雑な補綴物の設計についての話、また、歯科用顕微鏡の応用とダイナミックナビゲーションシステム(現在主流のサージカルテンプレートを利用した静的ナビゲーションに対して、手術中にドリルの位置をリアルタイムに追跡する3Dナビゲーションシステム)についての新しい知見が得られ、大変有意義な研修となりました。
口腔内スキャナ、設計ソフト各種の比較
現在、日本でも多くの口腔内スキャナ、CAMソフト(設計ソフト)が市場に出回るようになりました。我々がCADCAMに取り組み始めた10年前では考えられないことです。当院でも、口腔内スキャナはセレック、アイテロ(2種)の合計3種類、CAMソフトはインラボ(デンツプライシロナ社)、エグゾキャドの二種類を使用しています。
また、口腔内スキャナー付属のソフトには、様々なデータを重ね合わせてシミュレーションデータを作製する際、AIを用いてより正確に重ね合わせを行なうものも登場しております。
CAMソフトも当院未導入の3shapeも含め、インプラント上部構造の形態修正において、得意不得意があるようです。
今回の研修では、口腔内スキャナ、設計ソフトについて、インプラント治療を行うに当たっての特徴を整理することが出来ました。
海外の研修では、空いた時間を利用して、そのまま街並みを散策したり、様々な情報交換をする機会が得られました。1週間も時間をあけて海外に来られる先生たちばかりなので、それぞれの医院で、特徴を持った取り組みをされており、インプラント以外にも医院運営のことや歯科用顕微鏡歯科についてなど、様々な情報交換を行うことができました。
また、6月は、ちょうど一年の折り返しの時期となります。今年の前半の取り組みを振り返り、後半に向けての取り組みの計画など、じっくり考える良い機会にもなっております。
当院にすぐに取り入れることができることもあれば、時間をかけて取り組むべき課題も見つかりました。また、新しい人間関係を構築することもできました。少しでも医院に還元すべく今後とも努力をしていきたいと思っております。
最後に、このような研修は、医院のスタッフの協力なしには成り立たないことです。私がいない間も多くのスタッフが医院を守ってくださり、遅滞なく運営が行われておりました。
この研修を企画してくださったS先生とバイコンインプラント社の平山社長、そして特に、医院のスタッフに多大なる感謝の気持ちを伝えたいと思います。
写真は、研修中の楽しみである、散策の途中に撮影したのです。ローマは、まさに町全体が、古代ローマから連綿と続く古い歴史に彩られた町で、歩いているだけで、歴史の重みを感じることができます。また、食事も、非常に素晴らしく、研修以外にも非常に楽しむことができ、良いリフレッシュとなりました。当院も、設立82年となりますが、100年、200年と、大げさではありますが、ローマのような美しい歴史を刻んでいけるよう、精進したいとも思いました。