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2024.06.09

日本デジタル歯科学会講演~AIと医院運営

日本デジタル歯科学会講演~AIと医院運営

こんにちは、理事長の小室暁でございます。
5月も衛生士学校の授業、実行委員長を仰せつかっております、秋に行われる日本口腔インプラント学会学術大会の準備、日本口腔インプラント学会認定100時間コースの運営など、診療所の仕事以外にも色々と活動して参りました。
相変わらず慌ただしい毎日ですが、今月の1番のイベントは、5月11日・12日に開催された、日本デジタル歯科学会での講演となります。
日本デジタル歯科学会は、私が副会長を務めさせていただいている日本臨床歯科CADCAM学会と同じく、デジタル歯科についての知識を研鑽するための学会です。しかし、デジタル歯科学会は、どちらかと言うと大学の先生が中心となって、運営されている学会となります。

今回、この学会の学術大会が、長崎で行われ、私はシンポジスト仰せ付かりました。
大テーマが、”AIによる歯科医療”となっており、近年、発達が著しいAIについて、様々な発表者がご講演をされておりました。
近年、AI(人工知能)は多くの分野で急速に発展し、日常生活やビジネスに大きな影響を与えています。AIは、人間の知能を模倣する技術であり、従来のAIが与えられたデータからパターンを学習して分類や予測を行うのに対して、近年の生成AIはテキスト、画像、音声、動画などの新しいコンテンツを作り出すことを目的としています。つまり、より人間の脳に近づいたといえます。近年のコンピュータの性能の向上もあいまって、急速に技術が向上しています。
医療の分野では、診断支援、医療画像の解析、薬剤の開発などに活用されています。
AIについての新しい知見や、基本的な考え方を、歯科の先生方のみならず、様々な角度から伺うことが出来ました。
私は、二日目の午後からのシンポジウムとなりましたが、実はAIとはあまり関係ない話題でした。笑

歯科でのAIの利用

AIは歯科医療の分野でも多岐にわたる応用が進んでおり、診断の精度向上、治療計画の支援、患者管理の効率化など、様々な形で活用されています。以下に、具体的な活用方法をいくつか紹介します。

1.診断支援

AIを用いた画像解析技術により、レントゲンやCTの画像から虫歯、歯周病、腫瘍などの異常を高精度で検出します。
 例:深層学習を利用したX線画像の解析により、初期段階の虫歯や骨の異常を早期発見。

2.治療計画の支援
インプラント手術の計画:

AIが患者のCTデータを解析し、最適なインプラントの位置や角度を提案します。これにより、手術の成功率が向上し、患者への負担が軽減されます。
 例:3Dシミュレーションを用いたインプラントの設計と手術ガイドの作成。

矯正治療:

AIが患者の歯列や咬合状態を解析し、最適な矯正治療プランを作成します。
 例:インビザラインなどのアライナー矯正装置の製作にAIを活用し、治療期間の短縮と精度向上を実現。

3.患者管理とコミュニケーション
チャットボット:

AIを搭載したチャットボットが患者からの問い合わせに24時間対応し、予約の受付や治療に関する情報提供を行います。
 例:診療時間外でも患者の質問に答えるAIアシスタントの導入。

4.予防医療
リスク評価:

AIが患者の歯科データを分析し、虫歯や歯周病のリスクを評価します。これにより、個々の患者に合わせた予防策の提案が可能になります。
 例:ライフスタイルや過去の治療履歴を基にした個別リスク評価レポートの作成。

5.治療支援ロボット
ロボティクス:

AIを搭載したロボットが歯科治療を支援し、精度の高い手術や処置を実現します。特に、手術の際の微細な操作を支援することが可能です。
  例:ロボットアームを用いた精密なインプラント手術。

6.教育とトレーニング
シミュレーション:

AIを用いたバーチャルリアリティ(VR)やシミュレーションシステムにより、歯科医師や学生が実践的なトレーニングを行うことができます。
  例:VRを利用した手術シミュレーションで、リアルな手術環境を再現。

7.レポートの自動化
診療記録の自動作成:

AIが診療内容を自動で記録し、治療の進捗や結果をまとめたレポートを生成します。これにより、歯科医師の業務負担が軽減されます。
 例:音声認識を用いた診療記録の自動入力。

電子化ノートの使用〜medical box noteの導入と活用

私は、『診療情報のDX化―電子化ノートの活用―』というセッションで、”電子化ノートの使用〜medical box noteの導入と活用”という題名で講演させていただきました。
当院は、インプラント、矯正、口腔外科、歯科麻酔科などに指導医・専門医・認定医を複数配置し、一般診療、地域連携も含め、各科の連携を重視して医院の運営を行なってまいりました。
この診療スタイルは、近年の、いわゆる歯科におけるDXの推進により大きく変化しました。
治療データにおいては、iOS、eOS、フェイススキャン、CBCT、顎運動記録装置などの進歩により、多くの情報がデジタルデータ化されるようになりました。これらのデータを組み合わせて、治療のあらゆる場面に使用できるようになった結果、デジタル技術は歯科医師のみならず、技工士、衛生士、歯科助手、トリートコーディネーターなどを巻き込んだ、歯科治療のインフラとしての役割を果たすようになりました。
歯科医院運営においても、DXの推進によって、アポイント、支払い、電子化ノートなどの診療情報もデジタル化が進んでおり、患者情報の共有化や、作業時間の短縮などに大きく寄与しています。
以上のように、あらゆる情報をデジタル化することにより、院内の連携はよりスムーズとなり、患者さん、医療従事者共に得られる恩恵は多いと感じていますし、院内DXあってこそ、当院の2医院及び技工所、地域連携室(Ksルーム)の一体運営は成り立っていると考えています。
一方、デジタル化を推進する過程においては、設備投資、スタッフへの物理的負担、導入後の運用の負担など、越えるべきハードルが多いことも事実です。
今回の講演では、電子化ノートに論点を絞り、当院での実例を交え、その使用法や利点、導入のポイント、そして今後の課題などについてお話ししました。
佐藤琢也先生、康本征史先生といった、私が尊敬する先生や、同僚の先生と講演をご一緒でき、非常に光栄であるとともに、初めてお話しする話材だけに、うまく聴衆に伝わるか、やや心配しておりました。
しかし、AIのような最先端の技術についての講演だけでなく、歯科医師が日々の診療や歯科医院運営に役立つデジタルの話題について講演をさせていただくことも重要であるとは、理解しており、力を込めて講演したつもりです。

デジタル歯科学会は、インプラント学会や、日本臨床CADCAM学会でお世話になっている先生も、多く参加されていました。一方、懇親会では、様々な初対面の先生方とも、新たな人間関係を築くこともでき、非常に有意義な学会になったと感じています。
また、長崎は、海産物が非常に美味しく、あまり時間はなかったのですが、長崎の味覚も仲間と堪能することができました。
帰りは、親友のI先生と、新幹線を乗り継いで大阪まで帰り、道すがら、いろいろな情報交換をすることができ、これも非常に貴重な時間となったと考えています。

今年の前半は、私が毎年のように講演させていただく、デジタル歯科治療技術についての講演だけでなく、管理栄養士の歯科医院での活躍についての講演や、歯科医院運営においてのデジタル歯科についての講演など、これまでと違う話題の講演も経験させていただきました。それも、新たなチャレンジとなり、ややハードルを高く感じたものでしたが、発表準備する過程で自分の歯科医院の現状や、自分自身の考え方の整理に大いに役立ち、今後の、医院運営の方向性を明確にすることができました。やはり考えをまとめ、アウトプットすることは大事なのだと思います。
今年も早くも半分が過ぎようとしておりますが、後半に向けて、様々なチャレンジをして参りたいと思っています。

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