本日の月末恒例の小室歯科矯正歯科近鉄あべのハルカス診療所の勉強会は、兵庫県三田市より、英保裕和先生にお越しいただき、歯科の防湿についてのお話を伺いました。
英保先生は、ZOOと言う、口の中を防湿する機具を兄弟で開発された凄い先生です。小室暁理事長と、研究会を通して長くお付き合いさせていただき、大変尊敬する先生のお一人です。
皆さんご存知のように、お口の中は、常に唾液で濡れた状態になっています。そのため、歯科治療をするときは、常に非常に湿度が高い状態で行われることとなります。これを防ぐのが防湿、と言う作業で、この作業を簡単に行うのがZOOと言う機器となります。
なぜ、防湿を行うのか
- 歯科に必要な接着と言う作業を確実に行うため
虫歯になった時、言うまでもなく、虫歯を削り、新鮮な歯の質を露出させて、その部分にレジンと言う歯科用強化プラスチックで充填したり、詰め物や被せ物を入れて直していきます。
最近では、詰め物やかぶせ物には、セラミックやCADCAM冠や、インレーと言った強化プラスチックの塊を削ったものを使うことが多くなっています。このような材料も、レジンでできたセメント(歯科用接着剤)で歯と科学的に結合させます。これが接着と言う作業です。
つまり、現在の虫歯治療において、接着を確実に行う事は非常に重要な作業となります。このレジンは、完全に乾いた状態で、その本当の医学的効果を発揮すると言われています。ですので、確実に防湿作業すると言う事は非常に重要なことになります。
防湿を確実に行うか行わないかで、すぐには問題は出て来ませんが、5年後10年後に確実に大きな差となって現れてきます。つまり、虫歯になったり、詰め物やかぶせものが外れたり、といったトラブルが少なくなるのです。 - 歯の治療中に唾液が侵入することを防ぐため。
虫歯が大きくなった時、根管治療と言う、歯の中の神経や血管が通っている穴を治療する必要があります。この時、その穴に唾液が入ってしまうと、唾液の中の細菌が増殖して、痛みがなかなか消えなかったり、長い間に、根の先に炎症を起こしたりするのです。ですので、できるだけ歯の周りに唾液が侵入しないように、根の治療をすることが歯の寿命を長引かせるために必要となります。
以上のように、防湿と言う作業は非常に重要なのですが、これを簡単に実現するのがZOOとなります。
当院でも、これまで1台所有していたのですが、今回改めて英保先生にご教示いただき、実際にチェアサイドにて実演までしていただき、非常に理解が深まりました。
ZOOのもう一つの特徴として、ZOOだけで唾液を吸い取り、舌や粘膜を排除することができるため、ドクターが1人で診療をしなければいけない時も非常に確実に診療ができると言う利点もあるようです。
英保先生には、ZOOの話だけではなく、先生が卒業してから今までの診療スタイルの変遷と、いかにして充実した歯科医師人生を歩むのか、といった深い話まで聞かせていただき、勤務の先生方にも大満足の時間となったと思います。
当院では、早速このZOOを追加注文して、より患者さんに優しく、確実な治療を行うため、使用していきたいと思っています。
英保先生、はるばる遠いところまで、お越しいただき、誠にありがとうございました。
写真は英保先生に実演をしていただいている写真です。
また、英保先生が今回の勉強会について、ご自身のブログに執筆くださいました。こちらもご覧いただけましたら幸いです。