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2018.05.17

お口の健康と、体の健康について

理事長 小室暁

先週末、理事をさせていただいている、大阪口腔インプラント研究会の総会と、特別講演会に参加させていただきました。

本年は、歯科医療と、生活習慣病対策の関連性を、重視した大変ユニークな診療を展開されている、鶴見大学臨床教授の竹内弘明先生のお話しを拝聴しました。

先生は、歯科と生活習慣病の関係は、大まかに(1)歯周炎をコントロールすることにより、血管・代謝の健康守ること、(2)咀嚼機能回復(よく噛めるようにすること)から代謝の改善を図ることの2つであるとまず強調されました。

まず、歯周病、口腔清掃不良などがあると、歯肉潰瘍面から細菌やLPSが侵入し歯原生菌血症が生じます。ですので、歯周病予防・治療が、周術期管理、BRONJ、生活習慣病発症、抗加齢対策として有効である事を、具体的データを示して語られました。

次に、歯がない状態を改善すると、生活習慣病予防につながることについてお話しされました。生活習慣病の発症や全身的虚弱への初期のつまずきに、大臼歯喪失による咀嚼機能の低下があります。大臼歯を失うことで、うどんなど軟性食材である糖質偏重食(多くは高GI食品)傾向となり、丸呑みによる食速度増加が伴って過食や高血糖を招くそうです。この状態から、耐糖能異常を経由して糖尿病発症へと移行します。これは、当院でも、歯の欠損ドミノ、と言ってお話ししている内容です。(https://www.komuro-dental.com/newslist/knowledge/894/

先生は、そのことを、具体的な食品を通じてわかりやすく説明されました。われわれはカロリーにばかり気が行きがちですが、GI値(食後の血糖値の上昇度合いを示す値)にも気を配り食品を選ぶことが大事であるそうです。ですので、入れ歯やインプラントを使って噛めるようにすると、特に全身状況を改善できるということで、これは今後も私たちも患者さんに大いに伝えていきたいと思う内容でした。

最後に、先生は、疾病を重症化させることなく、未病の段階で収束させるには、臓器別の専門医同士の密なコミニュケーションが必須であることを強調されました。つまりわれわれは口腔の専門家として、他の専門の先生と連携しつつ、患者の身体全体に目配りすることが必要である。また、歯科医院は、その入り口になりえる診療科であることを強調され、気が引き締まる思いがしました。

先日もブログでお話ししましたが、噛む効率や、噛む力については、保険収載もされ、我々も測定がしやすくなりました。歯周病対策も含めて、お口の中の細菌のコントロールと、噛む力の改善について、当院も総合的に検査した上で、患者さんに個々に情報提供できるよう、今後ともさらに体制を整えていきたいと思いました。

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