最近、訪問歯科にて、患者様のご自宅や施設にお伺いする際、お口の中にインプラントを入れておられる患者様が増えております。
先日も、ある施設の患者さんがインプラントとインプラントの間に隙間が空いてきたので見てほしいと言うお話がありました。拝見しますと、インプラントの周りの骨がやせ、歯肉が若干腫れていたものの痛みやインプラントの揺れなど、大きな症状はなかったので、定期的な口腔内のクリーニングをさせていただくことで対応することとなりました。
このように、今後、お口の中にインプラントが入っている患者さんは、激増すると考えられます。そこで本日は、訪問歯科とインプラントの関係性についてお話ししようと思います。
なぜ、訪問歯科の現場でインプラントのトラブルが特殊なのか?
- 構造が特殊
インプラントは、歯のない顎の部分にチタン製の歯根にあたる部分(フィクスチャー)を埋め込み、その上にセメントやネジでかぶせ物を装着してはめるようにする技術です。
現在、インプラントの種類は、日本で認可されているだけでも非常にたくさんあり、訪問歯科の現場で、そのインプラントを特定する事は、困難な場合もあります。
またインプラントごとに、パーツが違うため、インプラントごとに特殊な対応を迫られることがあります。訪問に伺う患者さんはご高齢のことも多く、現在のスクリュータイプではなく、もう使われていない、ブレードタイプなどの今となっては使用されていないタイプのインプラントもあり、インプラントに対する深い知識が必要とされます。 - インプラントは長持ち
インプラントは、他の天然歯よりも意外と長持ちしていることも多いため、インプラントの部分のみお口の中で生き残り、返って邪魔になって、歯ぐきやほっぺたを傷つけてしまうこともあります。 - 周囲の方のご理解が必要
インプラントを入れているご本人様のご体調によっては、状況把握をご家族様などがしなければいけないことも時にあります。そのような時、ご家族様がインプラントのことをよくご存知なければ、混乱を招く時もあります。
介護現場でのインプラントに対する対応ついて
- 設計変化に対応できる様に事前にしておくこと
患者さんが、外来に通う体力があるうちに、インプラントを入れ歯の形に変えたり、より取り外しが容易な形の設計に変えたりします。
外来に通えなくなったときに備えて、お口の中の準備をしていくことが大事だと、最近は言われています。 - インプラント手帳の準備
事前に、他の部位も含め、インプラントの種類や大きさ、埋入日時などを記録したインプラント手帳のようなものを用意しておくことも大事です。そうすれば、訪問では、外来と違う先生がみられたとしても対応しやすいと考えます。
まとめ
以上簡単に、訪問の現場でのインプラントの問題点や、その解決法お伝えしましたが、インプラントだからといって、ことさら特別視しすぎず、他の天然歯と同じように、もし来来に通えなくなったときの事まで見据えて、日ごろからメンテナンスや、準備をしておけば良いのだと思っています。
他の治療と同じく、訪問の現場では、インプラントにおいても、その場その場の臨機応変な対応が必要となります。ご本人の全身状態は、もちろん、家族様の意向やケアマネージャーさんやお医者さんなども含めた、総合的な判断を必要とするからです。ですので、我々もインプラントの知識をさらに磨く事は、もちろん、その技術を使って、総合的に患者様に対応できるようなコミニケーション力、連携力を磨いていきたいと思っています。”最後のワンスプーンまで、口を通して、患者さんに寄り添う”、この目的をぶらさず、訪問診療に当たっていきたいと思います。
当院には、日本口腔インプラント学会の指導医・専門医、認定衛生士や国際インプラント学会の専門医が在籍しております。
インプラントについて、訪問治療にも対応できますので、ご質問ございましたら、以下のリンクまでよろしくお願いいたします。