デジタル歯科では、お口の中を直接、あるいは石膏模型を利用して歯並びや粘膜の状態をデジタルデータに置き換えます。
デジタルデータに置き換えるというのは、今まで存在した物で扱っていたものををコンピュータ上で保存するというこです。
従来は、石膏模型にしていたので割れる可能性や、紛失してしまう可能性がありましたがデジタルデータに置き換えると永久的に保存できるというメリットがあります。
そして、そのデジタルデータを用いて、詰め物や被せ物、矯正の歯並び、インプラントの埋込などをシミュレーションして様々なものを作成していきます。
最近では、簡単な詰め物やかぶせ物だけではなく、たくさんの歯が連結したブリッジや、入れ歯までデジタルにより設計することができます。
この活用により患者さんの来院の頻度が減少、さらには出来に差が少ない確実性の高い補綴物が出来上がります。
入れ歯作成に力を入れるため、当院で主力で使用している設計ソフト【セラミル】に先日、入れ歯の設計ソフトを追加導入しました。
また、これまで使用していたセレックのインラボと言うソフトの中の入れ歯設計ソフトも最新型にアップデート予定です。
これらのソフトに精密ミリングマシンのセラミルや昨年導入した際プリンターを組み合わせて、院内で様々なデジタル技術を利用した、入れ歯を作成する準備が進みました。
現在、デジタル技術を利用して、どのような入れ歯を作れるのか?
1、金属製の入れ歯が当院で作成可能となる
設計ソフトによりまずはコンピューターで複雑な金属入れ歯の形を設計し、鋳造して金属をつくります。
金属入れ歯に使用される主な材料のコバルトクロムは非常に固くて丈夫ですが一方で鋳造がしにくい素材となっています。
ですが、デジタルにより精密に形を設計する事が可能となり、当院が昔から行っているコバルトクロムの鋳造技術を組み合わせでかなり複雑とされていた理想の形も作成することが実現可能となりました。
まとめると今までのデメリットを解消することができ、良い材質での理想の設計が可能になるということです。
2、複雑なアタッチメント技師の作成
できるだけ見た目を良くしたり、外れない入れ歯を作るために、昔から複雑な”アタッチメント”、と言う道具を用いて、入れ歯を固定する方法が歯科では使われてきました。
しかし、複雑な形をしているため最近では臨床での使用頻度が減少していました。しかし、コンピューターソフトを使って複雑な設計が瞬時に可能なため再び臨床応用がしやすくなったと感じています。
良いものなのに複雑な設計のため使われなくなっていったものが現代医療で応用しやすくなった為、再び使用頻度が増えて行くことが予想されます。
こそこそがデジタル化の最大のメリットではないでしょうか?
デメリットを解消し、メリットを維持することが可能になったのです。
型取りの方法や、セットの方法など、アナログのテクニックでも、知識と技術が必要とされる入れ歯ですが、当院の昔からのアナログのノウハウと、デジタル技術を組み合わせ、今後もより良いアタッチメント義歯が作成可能なのではないかと感じています。
3、仮り入れ歯の作成
いちどにたくさんの歯を抜歯した後、最終の入れ歯を作る時など一時的に仮の入れ歯を使い見た目や、噛み合わせ等の修復を整え、抜歯した傷の部分を治るのを待つことがよくあります。
このような時、現在の入れ歯をそのままコピーして仮り入れ歯を作ったり、歯を抜く前に、型を取り仮り入れ歯を作っておいたりします。
この時デジタル技術があれば、仮り入れ歯を作るまでの来院回数や患者さんの負担が、大幅に減少します。
主にレジンで入れ歯を作るため、当院の導入している3Dプリンターを使用し、仮り入れ歯を作っていきます。
患者さんの負担が大幅に減るという事です。
以上のように、デジタル技術を利用して入れ歯の作成も新時代に突入していく予感がしています。
当院では今年に入ってからデジタル義歯について、学会で発表したり学会に参加しています。
多くの知識を得て、研鑽をしてきています。
まだまだ、伸びしろの多い分野ですが、試行錯誤しつつ、より良い入れ歯を患者さんに提供できるよう、精進していきたいと思います。
YouTubeにて動画をあげていますのでぜひぜひチェックしてみてください☺