歯科用CT
~より確実な診断を行い、安心な歯科治療へ~
当院では、歯科用CTを導入しております
歯科用CTとは?
インプラント治療、抜歯、歯周病、矯正治療など、精密な技術を要するものには、精密な検査が必要です。しかし、従来のレントゲン写真で得られる情報量には限界がありました。
そこで、小室歯科近鉄あべのハルカス診療所では、3D(三次元)の立体画像を得られる歯科用CTを導入することにより、見えなかった部分を容易に確認することができるようになりました。より正確で、より安全な診断を行うことが、治療の確実性を高めることにつながります。
医科用CTと比較した歯科用CTの特徴
歯科用CTは撮影が簡単
患者様にあわせて、高さ調整が可能です。
車椅子の方もそのままで撮影ができます。
これまでのレントゲンと同じ感覚で撮影が可能です
歯科用CTは被爆線量が少ない
被曝線量を比較した場合、医科用CTによる頭部撮影に対し、歯科用CTは約1/20程度と、安心して撮影を受けていただけます。
国際放射線防護委員会(ICRP)は、CTやレントゲン撮影、また原子力発電所で生まれる放射線の被ばく量の限度として、平常時では年間約1smSv(ミリシーベルト)が理想的であると勧告しています。
一方、歯科用CTやレントゲン撮影で受ける放射線量は、以下のようになります。
歯科用CT : 0.1mSv / 1枚
口の中に入れて撮影する小さい写真(デンタル) : 0.01mSv / 1枚
お口全体が撮影できる大きい写真(パノラマ) : 0.03mSv / 1枚
これは、一年間の限度とされる値の10から100分の1の値であり、胸部や胃のX線検査で浴びる放射線被ばく量よりも少ない値です。
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歯科用CT導入のメリット
治療の安全性確保
幅広く歯科治療に応用することができ、正確な診査・診断により、治療の安全性を高めます。
時間の短縮
以前は、CTを撮影するために、別のクリニックまで足を運んでいただいていました。そのため、日数も手間もかかってしまいましたが、院内にCTを導入したことにより、わずか数十秒での撮影が可能になりました。 もちろん、現在でも必要に応じて、外部に撮影を委託することはあります。
わかりやすい治療説明(インフォームドコンセント)
治療する部位を立体的な3D画像でお見せすることにより、どこを、どのように治療するのか、視覚でしっかりと認識することができ、安心して治療にのぞんでいただくことができます。
費用の軽減
外部のCTに委託すると、当然撮影料の負担が生じますが、院内で撮影することで、患者様の負担を軽減することが出来ます。
歯科用CTでできること
インプラント術前検査
インプラント術の成功には、上顎骨、下顎骨内の神経、血管などの位置を正確に診断することが欠かせません。CTによって、3次元的に骨の状態を把握することにより、インプラントの埋入位置をより正確に診断できます。また、このCTを使用して、手術用のサージカルステント(補助器具)を作成することもできます。
・矯正治療術前検査
長期治療が必要となる矯正治療も、三次元画像により正確な診断が出来ることで、治療期間短縮に役立ちます。
・歯周病検査
歯周病は、口の中のバクテリアや、噛み合わせの力、あるいは歯並びなどによって、歯の周りの骨や歯肉が炎症を起こし、歯を支える骨が吸収してなくなったり、歯肉が腫れたりする病気です。
ですので、歯周病検査では、骨の吸収度合いを調べることが欠かせません。CTを使用することにより、3次元で、歯の周りの骨の状態が一目で分かるので、非常に精密に分析できます。
・根管治療術前検査
歯の神経の入っている管(根管)は、非常に複雑な形をしています。CTを使うことにより、長さ、湾曲、幅を正確に把握することができ、どうしても時間のかかる根管治療も、スピーディにそして精密に行うことが可能です。
・智歯抜歯術前検査
神経や太い血管が多い智歯の抜歯手術。三次元画像により、神経や血管の位置を正確に把握することができ、予後が一番良くなる外科処置を行うことができます。
・歯の破折
歯の割れた方向によってはこれまでのレントゲンで全く診断が不可能だったケースでも、立体的な画像が得られるCTで正確に診断が可能になる場合があります。
インプラント術前CT分析
たった数秒で大きな安全と安心を提供します
歯科用CTのインプラントへの応用
小室歯科近鉄あべのハルカス診療所では、インプラント手術の術前に、必ずCTの撮影をします。当院では、院内に歯科用CTがあるため、迅速に撮影、分析できることも強みとなっています。
なぜ、インプラント手術にCTが必要なのか?
インプラント治療では、埋入する術前の骨の状態(質や厚み、高さ、形態など)を、正確に分析し、手術に臨む必要があります。これまでのレントゲンは、二次元の像、しかも一方向のものだけでしたので、どうしても、骨の厚み、細かい凹凸など細かい情報はわかりませんでした。
家を建てるときに、かならず作る設計図。この設計図は、2次元ですが、少なくともいくつもの方向から見たものを用意するはずです。場合によっては、パソコン上で立体的図を作成して、綿密にシュミレーションしてから作ります。インプラント手術するときも、それと同じで、細かく状況を分析し、完成をシュミレーションしてから、手術に臨むべきだと考えています。ですので、当院では手術前には必ずCTによるシュミレーションを行うようにしています。
上部構造のシュミレーション
インプラントの上部構造(被せもの)を入れる際に、もし、インプラントがベストの方向と違う方向に埋入された場合、どうしても形がいびつな物にならざるおえなくなったり、インプラントを止めるねじ穴が見た目にも、噛み合わせ的にも理想の位置でなくなってしまうことがあります。
もちろん、骨の形によって、仕方なくそういう状態になることはありますが、CTを使用すると、被せものの位置、形まで十分にシュミレーション出来て、緻密な手術が可能となります。
抜歯前に、大まかな情報を入手できる
患者さんの中に、“この歯はもうぐらぐらだし、抜かなければならないのはわかっているのだけれど、先生は抜いて、インプラントが出来なければ入れ歯とおっしゃるし、入れ歯になるくらいなら、抜きたくない”とおっしゃる方が多くおられます。こういう場合でも、当院では手軽にCTを撮影出来ますので、抜歯後、インプラントが出来るだけの骨の状態か、大まかな診断をすることが出来て安心です。
サージカルガイドへの応用
CTデータを利用して、インプラント埋入のシュミレーションをするわけですが、骨の状態が厳しい場合や、一度に多くのインプラントを埋入したい場合、また、より精密に埋入方向を設定して、きれいな上部構造(被せもの)を作りたい時など、CTデータを利用してサージカルガイドという器具を作り、まったくシュミレーション通りの手術を出来るようになってきています。当院でも、安全性、確実性を求めて、年々使用する頻度が増えてきています。
歯科用CTの歯周病診断への応用
歯周病は、口の中のバクテリアや、噛み合わせの力、あるいは歯並びなどによって、歯の周りの骨や歯肉が炎症を起こし、歯を支える骨が吸収してなくなったり、歯肉が腫れたりする病気です。
歯周病検査には、骨の吸収度合いを調べることが欠かせないのですが、以前は、パノラマや、デンタルレントゲンによって、二次元的に調べるだけでした。もちろん、現在でも、これらのレントゲンによる診断は欠かせないのですが、しかし、2次元の像ですので、診断には限界があります。特に、歯の頬側、舌側の骨の状態を診断することは難しかったのが実情でした。
一方CTを使用することにより、3次元で、歯の周りの骨の状態が一目で分かるので、非常に精密に分析できます。
これは、健全な状態の上の前歯のレントゲン写真です。丁度横から見たものですが、頬側の骨は、凄く薄いことがわかります。健全な状態でも、これだけもともとの骨は薄いです。
これまでのレントゲンでは、骨を2次元的に横から見るだけだったのですが、CTによって、このような”骨を輪切りにしたような”状態で見ることが可能になりました。
歯科用CTの根管治療への応用
虫歯が進行すると、歯の神経(歯髄)まで達します。
こうなってしまうと虫歯菌が感染した神経を取り除き、根管(神経が入っている管)を綺麗に清掃してからかぶせ物をする治療を行います。
一見簡単な処置のように思えますが、「根管を綺麗に清掃する作業」は非常に困難を極めます。なぜなら、根管は非常に複雑に入り組んでおり、完璧に清掃を行わなければ、「痛み」「腫れ」などの原因となり、「根尖病巣」という病気にもなるためです。特に、奥歯の根管は、下の図のように、3、4本ある上に、非常に複雑な形をしているのです
CTを利用することで、デジタルレントゲンでは見えない部分まで「見える化」することができます。
具体的な応用例
根尖病巣の位置的関係を把握する。
根尖病巣とは、歯の根の先端付近に出来る病気のことですが、歯が割れていたり、歯の根の中にバクテリアが侵入していたり、歯周病が進行していたりという原因で起こります。
しかし、これまでの2次元のレントゲンでは、
- 歯の根のどの部分が原因なのか
- 病巣の立体的な広がり、
- 上顎洞や下歯槽管などの解剖学的な構造との位置関係
がわかりませんでした。しかし、CTを撮影することで、病巣が立体的に把握できるので、非常に有用です。
根管の分岐状態を知る
歯の根の状態は、非常に複雑で、しかもバリエーションに富んでいます。
たとえば、前歯は普通1本しか根管(神経や血管の通る穴)がないのに、2本あったり、奥歯でも普通は3本のところが4本あったりすることがあります。また、根の先で、枝分かれしたり、逆に癒合していたりもします。
そういうことを立体的にCTで把握することで、非常に予知性のある根の治療が出来るようになります。
複雑な根管の走行状態がわかる
歯の根が、先の方でどの方向に屈曲しているか、根尖孔はどうなっているかをCTであれば3次元的に知ることができます。また、レントゲンではわかりにくい、側枝という枝のような細い根の走行などの情報も得られます。
根尖病巣と歯周病による骨吸収との関係を知る
根尖病巣と歯周病による骨吸収で外界と交通している歯周ポケットと繋がっていれば、無菌化することが難しいため、予後不良です。歯根膜腔の拡大と根尖病巣との連続性を診査します。