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2025.03.09

富山出張報告!~デジタル吸着義歯について

先日、小室暁理事長と田代デジタル技工士長が、富山でご開業されている総義歯およびデジタル歯科のエキスパートである山崎史晃先生のオフィスを見学し、研鑽を積んできました。

当院は、故小室史郎が開院して以来、独自の義歯理論に基づいて義歯治療に力を入れてまいりました。しかし、総義歯は、人それぞれの顎の形、噛み合わせ、唇の圧力などに合わせて作る必要があり、難しいことが多いです。とりわけ下顎の総義歯は、骨の吸収が進行することによって安定した義歯を作るのが非常に難しいという課題がありました。

当院も、総入れ歯製作を研鑽し続け、

  • 材料の進化
  • BPSシステムなどの新しいシステムの導入
  • インプラントの併用

といった方法により、より安定した義歯を作成する環境が整っています。しかし、さらに高いレベルの義歯治療を提供するため、新たな知見を学ぶことが重要と考えています。
そのキーワードの一つは、”デジタル義歯” です。当院では、デジタル技術の歯科への応用を積極的に取り入れていますが、いよいよ義歯製作にも、”デジタル化の波” が押し寄せてきています。

デジタル義歯とは?

デジタル義歯とは?デジタル義歯とは、 コンピューターを活用して設計・製作する入れ歯 のことです。従来の方法とは異なり、型取りから製作、調整までをデジタル技術で行うため、 よりスピーディーで、精度の高い義歯 を作ることができます。

デジタル義歯には以下のような利点があります。
データの保存・再現性の向上

デジタル技術を活用することで、一度採得したデータをデジタルデータとして保存できます。これにより、修理や再製作が必要な場合でも、過去のデータをもとにスムーズに対応できるようになります。また、記録の正確性も向上し、技工物の品質を安定させることができます。

作業効率の改善

デジタルフローを導入することで、従来の印象採得や石膏作業が不要になり、工程がシンプルになります。設計から製作までをデジタルで一貫して行うことで、技工士の負担軽減や作業スピードの短縮にもつながります。また、設計データを共有することで、歯科医師と技工士の連携もスムーズになります。

患者の負担軽減

デジタルスキャンによる型採りは、従来の印象材による型採りよりも患者様の不快感が少なく、嘔吐反射のある方にも優しい方法です。また、短時間で型採りが完了するため、診療時間の短縮にもつながります。

デジタル義歯はこんな方におすすめです
  • 入れ歯が合わなくて困っている
  • すぐに義歯が必要
  • 型取りの不快感を減らしたい
  • 万が一のときに、すぐに新しい義歯を作れるようにしたい」

当院でも、この分野に注力し、新たな技術の導入を進めていきたいと考えています。

山崎先生の「下顎吸着義歯」理論とは?

山崎先生が会長を務める日本有床義歯学会では、下顎吸着義歯という確立された方法を用いて、優れた臨床結果を残されています。今回は、山崎先生の技術も大きな学びを得ました。

下顎吸着義歯とは?

「吸着」とは、まるで 入れ歯が歯ぐきにピタッと吸いつくような状態 を指します。従来の下顎の総入れ歯は、 舌や唇の動きで外れやすい という問題がありました。しかし、 下顎吸着義歯 では、 適切な形状と精密な調整を行うことで、舌を動かしても義歯が浮き上がらず、しっかり安定する ようになります。

下顎吸着義歯の仕組み

この義歯が外れにくい理由は、 「陰圧(真空のような状態)」 を利用しているからです。

  1. 精密な型取り を行い、歯ぐきにピッタリ合う形状を作る
  2. 義歯の 辺縁部(端の部分)を最適な形 に調整する
  3. 口の中の 唾液がクッションの役割を果たし、陰圧(吸盤のような状態)を作る
  4. その結果、 吸着が生まれ、下顎の義歯がしっかり安定する
下顎吸着義歯のメリット
  • 動かない・外れにくい → 食事や会話が快適に!
  • 入れ歯安定剤が不要になることが多い → 負担軽減!
  • しっかり噛める → 健康的な食生活が維持しやすい!
  • 粘膜への負担が少ない → 痛みや違和感が軽減!

下顎吸着義歯、デジタル義歯、そして小室義歯理論との融合

今回の見学では、山崎先生が従来のアナログ技術を見事に融合し、院内の技工士と連携しながら素晴らしい成果を上げられていることを拝見しました。

特に、

  • 義歯製作におけるアナログ技法のポイント
  • 使用する材料の選定
  • 3Dプリンターの活用

について、詳細にご教示いただき、非常に濃密な学びの時間となりました。

また、見学を通じて再確認できたのは、

  • 当院が小室史郎より引継ぎ、大切にしてきた義歯理論
  • BPS義歯などの最新のシステム
  • 山崎先生の科学的な吸着義歯理論

は共通点が多く、当院でもすぐに応用できる内容であるということです。
さらに、デジタル技術の利点を加えることで、より精度の高い義歯製作が可能になると確信しました。

これは、

  • ドクターにとって治療の質向上
  • 技工士にとって作業の効率化
  • 患者様にとって快適で安定した義歯の提供

につながる、大きな可能性を秘めた進化と考えています。

今回の訪問では、義歯の技術のみならず、山崎先生との医院経営の方向性についても共感する点が多く、非常に有意義な交流となりました。今後も人材交流を含め、末永くお付き合いさせていただきたいと考えています。

また、当院では4月に3Dプリンターを活用した義歯製作の講習会を研修室で開催予定です。さらに、先日の姫路での出張でも新しいデジタル義歯材料についての学びを得て、さまざまな情報を得ることができました。

本年は、アナログ・デジタル双方の技術を取り入れ、小室歯科の義歯治療をさらにワンランクアップさせる一年になると確信しています。
すべては患者様のために、今後も努力してまいりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

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