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2024.07.08

当院の院内歯科技工の歴史とデジタル技工所の開設

当院の院内歯科技工の歴史とデジタル技工所の開設

当院は、11年前、あべのハルカスに診療所を移転拡大以来、デジタル歯科を診療の中心において医院運営を行って参りました。

移転当時は、セレックというCADCAM機器を導入し、歯の詰め物やかぶせものを従来の粘土のような印象材ではなく、光学印象と言う光を用いて行なう印象を行い、そのデジタルデータを利用して、小さなブロックを削りだして、セラミックの被せ物や詰め物を作成していました。これは今でも、当院でのCADCAM作成の基本となっています。また、セレックは削りから、型取り、セットまでを一日で行なえ、このシステムは今でもセレックは世界で最も優れたシステムであると思っています。

当時は、これだけでもずいぶん画期的な治療形態でしたが、この10年間で、当院では様々なデジタル機器を導入し、技工士たちがデジタルデンティストリーに取り組んでくださるようになりました。また、昨年11月のタワー館診療所の開設に伴い、新診療所内にデジタルデンティストリーのみを行う技工所を設置し、さらに法人全体としてデジタル技工の質を向上させています。
今回は、当診療所の技工の歩みをご紹介したいと思っています。

デジタル技工導入前

当法人の特徴は、開設当時から、院内に技工士を配置し、技工士とともに技工物を作成することです。
設立者である小室史郎が、義歯治療を専門としていたこともあり、受け継がれてきた理論に基づいた義歯作成、金属床義歯、アタッチメント義歯には特に自信を持っています。お口全体に渡る被せ物の作成、インプラント上部構造等、非常に複雑かつ精密な技工物にも積極的に取り組み、ノウハウを蓄積してまいりました。
ドクターや患者さんと直接対話して、技工物という”人工臓器”を作製するメリットは今でも変わりませんし、アナログ時代のノウハウの多くは、デジタル時代にも活かされています。

当院の院内歯科技工の歴史と、デジタル技工所の開設

セレック導入から、10年の歩み

先ほどもお伝えした通り、導入した当時は、セレックによる小規模なセラミック技工物作成のみを行っていました。
しかし、それから数年して、CADCAM材料として、金属並みの強度があり、かつ歯と同じような白さを持つジルコニアと言う材料が登場しました。このジルコニア材料を始めとして、より多くの材料を効率的に加工する目的で、大きなジルコニアディスクや、PMMA (歯科用レジン)を加工することができる、アマンギルバッハ社のセラミルを導入いたしました。このことによって、技工士が、CADCAM技工を行う幅は、大きく広がりました。
2020年頃になると、技工物を削り出す(切削加工)だけでなく、3Dプリンターを使用して作成する技術が紹介され始めました(付加造形加工)。3Dプリンターでは、より複雑な形を造形することができるため、当院でも早速導入し、現在では、模型の作成や、インプラントに使用するサージカルガイド、入れ歯の作成などに使用するようになっています。
2020年頃は、同時にセレックだけではなく、様々なイントラオーラルスキャナが日本でも使用できるようになりました。それに伴い、データを加工してシミュレーションしたり(シミュレーションソフト)、様々な技工物を設計したりするソフト(CAMソフト)も複数のものを導入して、症例によって使い分けるようになりました。

デジタル技工室の設置。

2023年の小室歯科矯正歯科近鉄あべのハルカスタワー館診療所の開設に伴い、デジタル技工室を設置いたしました。
この技工室では、技工において石膏を全く使わず、主に、設計ソフト、ミリングマシン、3Dプリンター、セラミック焼成器などで構成されています。ですので、写真のように、技工室はかなりきれいな状態に保たれていて、以前のような”作業場”、といった雰囲気とは違い、会社のオフィス的な雰囲気が漂う空間となっています。
この技工室が開設されて約半年となりますが、その間でも、ソフトのスピードを上げるためのパソコンの入れ替え、設計ソフトの創設、3Dプリンターの増設など、地味ですが、大切な改善を次々と行ってきました。設計ソフト自体も高額で、それを動かすパソコンも非常に高い性能を要求されるため、費用もそれなりにするのですが、技工の増加と働き方改革のために、避けては通れない投資だと考えています。

  • セラミルセラミル
  • 加工ソフト加工ソフト
  • 3Dプリンター3Dプリンター
  • セラミック技工スペースセラミック技工スペース

また、今後は、顔面のデジタルデータを採特するフェイススキャナーを医院全体で使用する取り組みなど、一歩一歩、前進していきたいと思っています。

こうして振り返りますと、まさに10年一昔とはよく言ったもので、この10年で、正に技工分野は根底から変化して参りました。その間、当院の技工スタッフは、不動のメンバーでよく変革についてきてくださったと、感謝の気持ちでいっぱいです。当院の強みは、アナログ時代の良さも知りつつ、デジタルを使いこなす技工士が何人も在籍してくれていると言うことです。
理事長が副会長を拝命している日本臨床歯科CADCAM学会でも、昨年技工士部会が設立され、関西支部でも技工士部会が設立準備に入っています。当院の技工士も深く関わらせていただくこととなり、ますます学びを深めつつ、患者さんに還元していきたいと思っています。
普段どちらかと言うと、目立たない縁の下の力持ち的な役割ですが、当院の技工士の活躍に今後ともよろしくお願い申し上げます。

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